【新装版】BAD BOYS
修学旅行中、シイが俺には本命がいるよ宣言をしたときは、女の子たちはあっさり引いてくれたけど。
やっぱりこうやって、本命の存在に納得できない女の子たちはいるわけで。
「……でも、」
「でも、じゃねえよ〜。
……まあ俺、このコが彼女なんて一言も言ってねえけど」
「……ちがうの?」
不安そうに、聞いてくる女の子。その表情を狙ってやってるってことはなんとなくわかるけど。
たとえ狙っていたとしても、そうやって可愛く見せる方法を知っている女の子は、やっぱり可愛い。
「ひみつ」
彼女の耳元にくちびるを寄せて、甘く囁く。
何を言ったわけでもないのに、かあっと顔を赤く染める女の子。それを見てふっと口角を上げてから、はなびに「行こうか」と声をかけた。
「じゃ、またね」
「う、ん……いってらっしゃい」
女の子と遊ぶのは軽いって言われるけど、別に悪いことしてるわけじゃねえんだからいいと思う。
多少イケナイことはしてるけど、それって大人もやってるわけで。高校生だからまだ早いって言われても、結局みんな裏でこそこやってる。
俺がちょっと大っぴらだから、目立つだけで。
誰だって男ならかわいい女の子と遊びたいし、欲求だって可愛い子と済ませたいし、ある程度狙って媚びてても、嫌味がなければ女の子は可愛い。
「……椿」
そもそも、かわいい女の子に好意を寄せられて嫌だと思う男の方が、少ない気がする。
……でも、ただひとつ、言えることは。
そんな風に可愛い子に、甘えられるよりも。
甘え下手な本命の方が、よっぽど可愛く見えるって話だ。