【新装版】BAD BOYS
「どうしようシイ、はなびがかわいい」
『もしかしてそのためだけにデート終わりの俺に連絡してきたの?
とんだ暇人だね椿』
特にすることもなく散歩して、地元に戻ってきて、はなびを家まで送って解散。
散歩の途中で見つけた小さな雑貨屋さんにはなびが入りたそうだったから付き合ってあげたり、おしゃれなレストランがあったから今度一緒に来る?と誘ってみたり。
……立派なデートじゃね?
家に帰って「あら今日早いのね」と両親に驚かれつつも、2階へと上がってきた。
いまは母さんが晩飯をつくってる最中で、すみれは父さんとリビングで遊んでる。気が逸れたら俺にべったりだろうから、いまのうちに電話。
めんどくさいなと電話越しにシイが舌打ちしたような気がしたけど、いまのご機嫌な俺は無敵だ。
本当にはなびがかわいい。地元に戻ってくるまでの間、ぜったい向こうでもモテてたと思う。
……うん、やっぱ、欲しいわ。
あの人から略奪するとか無理だと思ってたけど、それよりも、やっぱり好きだしはなびが欲しい。
『しづー。どしたー?
姉さんがお前のこと呼んでるけど、』
『ああ、ごめんミル。
すぐそっち行くから待っててって伝えて』
『んー、りょーかい』
電話の向こうで。
交わされるやり取りを聞いて、忙しいのかとぼんやり思う。俺の電話に出る余裕はあったみたいだし、大丈夫ではあるんだろうけど。
「シイ、お姉ちゃんなんかいたっけ?」
『……いないよ。
みんなの姉みたいな存在の人ってだけ。……で、その姉さんに俺呼ばれてるらしいから、もう電話切っていい?』
「……ん」