【新装版】BAD BOYS
「それならわたしは、喜んで手を貸すわ。
けれど『花舞ゆ』が、彼女みたいに同じことができないのは事実よ」
「知ってるよ。でも、何も『花舞ゆ』は全員が同じように傷を抱えてるわけじゃない。
だから姉さんが、一部だけこっちで引き取るって言ってたよ。……どうしても、こっち側でしか、傷を癒せそうにない子だけ」
「……うん」
「なんとかなりそうな子とか、椿みたいに支障のないメンツは、そっちで今まで通り暮らしてくれればいい。
その代わりこっちの学生組なんかは塞ぎ込んでるヤツが多いし、『花舞ゆ』の中から仲良くしてくれるヤツがいてもいいな、とは思うよ」
「わかった。わたしが染に直接話をするわ」
「ん、じゃあ頼んだ。ひとまずきみはこっち側にも協力するっていう形で。
双方での話し合いはまた後日ね。姉さんがそろそろ送れって言ってるから、近くまで送るよ」
……とまあ、こんな具合で話をしていたのだ。
だからまさか彼が勝手に椿に何か言っているとは思ってもなかったし、その意図もわからない。
「……なるほどな。状況はわかった」
「お互いに協力し合えない、かしら?」
「……お前にだけ言っとく。
元から俺は、そのつもりで進めてたんだよ」
……ん?どういうこと?
そのつもりで進めてた、ってことは、染も和解する気でいたってこと?
「朔摩に、その組織のヤツがひとりいる。
……俺はそいつがそこの組織にいることを知ってたし、向こうも俺が『花舞ゆ』の関係者だってことは知ってた。だから、和解の話は進めてた」
「そう、だったの?」
「ああ。ただ、時間がかかる方法だったからな。
お前が選んだ手段の方が早いし、ほかのメンツも納得しやすい」