【新装版】BAD BOYS
危険を顧みないところだけは反省しろよ、と。
染にそう宥められて、ごめんねと再び謝れば、頭を撫でてくれた。
電車がホームに滑り込むと、急いでたまり場へと向かう。
ガレージのすぐそばまで来たところですでに中から声が聞こえてくるほど騒がしい。先に中に入った染が「珠紀」と名前を呼べば、水を打ったように静まり返った。
「染……、はなびも、」
珠紀の声が心なしか沈んだように聞こえるのは、そのすぐそばにいた椿が、わたしたちを見た瞬間避けるように2階へと上がっていってしまったからで。
さっと、体温が引いていくような気分だった。
「っ、」
だめ、だ。傷ついた顔、してた。
あの時と同じ、傷ついた顔。あの顔を二度とさせたくないって思ってたのに、また同じ顔をさせたのは、わたしだ。
何度傷つければ、気がすむの。
椿の気持ちを知っただけに、余計に、ためらってしまう。……でも。
「っ、椿……!」
このままじゃ、だめだ。
呼び止めたけれど無視した彼を、階段をのぼって追う。
芹がなにか言いたげだったけど、染が「いい」とそれを一言で制して、わたしの好きにさせてくれた。
「……椿」
「来んな。……っていうか、なんでいんの。
あいつらもそうだけどお前も授業中だったろ」
「そ、んなことより、」
「俺の方が大事、って?
いまさら罪悪感感じて俺の機嫌でも取りに来た?」