【新装版】BAD BOYS



俺がはなびと密かに会ったのは、"秘密事"だ。

はなびがここに戻ってくると決断するまでは、ほかの誰にも話す気はない。



「あ、そーだ。椿」



「ん?なに?」



「お前こないだ、氷見(ひみ)が丘来ただろ?

そんで、見かけたヤツにお前のこと紹介しろって言われてんだけど」



氷見が丘は、芹の通う高校で。

『花舞ゆ』の現高校生メンバーは3校だけで8割を占める。その中でいちばん多いのが、氷見が丘。



次に多いのが朔摩(さくま)で、3番目が俺も通ってる天皇寺。

ちなみに幹部は芹と珠紀と穂の3人が氷見が丘で、染だけが朔摩。



ちなみに"あの"ノア先輩も、去年まで朔摩の生徒だった。

授業もサボりがちで遅刻常習犯なのに、テストの結果が貼り出されるといつも学年トップに名前があった、らしい。ほんとに嫌味な人だ。




「悪いけど、またの機会に、って断っといて」



「……お前が誘いに乗らねーの珍しいな」



例えばこの話を聞いたのが1週間前だったら、乗ってただろうけど。

生憎今の俺は、本命とのデートプランを考えるのに忙しいからねえ。……なんて絶対言わねえけど。



「……っていうか、芹に女友達とかいんの?」



「失礼なヤツだなお前」



芹の返しはスルーで、同じ学校に通う珠紀と穂を見れば。

さっきからスマホにがっつり視線を向けているくせに、俺の視線の先に気づいた珠紀が「芹モテるよね」と少々的外れな答えを返してくる。



「芹ちゃんは思ってることはっきり言うから、中学のときは怖いって言う子が多かったけどー。

高校じゃ、裏表のない性格だから付き合いやすいっていう子が多いんだよー。芹ちゃん、ぼくらの誰よりも交友関係広いもん」



< 23 / 463 >

この作品をシェア

pagetop