【新装版】BAD BOYS
「俺の、はやとちり……?」
「そうなんじゃねーの?」
なら。それ、なら。
俺がはなびに言ったあの言葉は、ただただ俺が一方的に、はなびを傷つけただけということになる。
もっと早くその話をしてくれれば、俺だってあんな冷たく接することもなかったのに。
……って、そうじゃない、か。
はなびはあの時、俺に話を聞いてくれと言ってた。
だけどそれを聞きたくないと遮ったのは、俺だ。
「……芹」
はやくも機械を操作して、曲を入れようとしている芹を呼ぶ。
「んー?」と呑気な返事のあと、芹とかち合った視線は、やっぱり柔らかくて優しかった。
「俺……
とんでもないこと、したかもしんない」
「やっと気づいたか。
……謝るなら一緒に行ってやるから、頭ん中ちゃんと整理しとけよ。ダチのこともあるんだろ」
「……、」
「安心しろよ。
完全に病んでるお前をむりやり連れ出してカラオケで話聞いてやるぐらいには、俺はお前のこと好きだっての」
「……相当俺のこと好きじゃん」
「よく気づいたな。その通りだ」
冗談のつもりだったのにあっさり肯定されて、ふっと笑みが浮かぶ。
スマホの中にある彼女の名前を、じっと見つめて。あとでシイに連絡しようと決めて、俺も芹のストレス発散に付き合うことにした。