【新装版】BAD BOYS
『所在地、完全に不明なわけ?』
「家、何回か行ったけど……
泊まってんのか、ずっといねえんだよ」
『……ノアさんとこ逃げたんじゃないの』
「ああ……」
その可能性も、無くはないな。
というか、その可能性しかねえよな。……せっかくはなびが、あの人に交渉して、俺らのところに帰ってきてくれたのに。
『思い詰めてる暇あるなら、行動しなよ』
そう言ったかと思えば、無情にも電話が切られる。
仕方なく連絡先から引き出したのは、正直連絡したくない相手。でも、唯一の手掛かりになる人。
『……言っとくけどはなびには会わせないからね』
「……せめて、
もしもしぐらいは言ってもらってもいいですか」
『はなびのこと泣かせといて何言ってんの』
……自分だって泣かせてたくせに。
とは、言いたくても言えない。俺とあの人じゃ、そもそもの立ち位置が違う。彼氏であるノア先輩と俺が泣かすのじゃ、ワケが違う。
「……、はなび、大丈夫ですか」
結局。
ありきたりな言葉しか出てこなくて。それを聞いたノア先輩も、その質問に答えるのは面倒なのか『椿さ』と話を変えた。
『……さっさと彼女つくれば?』