【新装版】BAD BOYS
「そういえば、みんなでこうやってお出かけするの中学のとき以来だねー」
「……そうだな」
じりじりと太陽の照りつける炎天下を、5人で歩く。
その間、俺らに向けられない女の子の視線なんてものはなくて。5人で一緒にいるからいいものの、単独行動なんてすればすぐに声を掛けられそうだなと思う。
「つーちゃん」
電車に乗ってからぼーっと窓の外を眺めていたら、くいくいと服を引っ張られて、ん?と視線を向ける。
甘いヴァイオレットの毛先が薄く陽光に透けて、綺麗だ。
「ショッピングモールの中に、ショコラショップできたんだってー。
美味しいって評判だから、あとで行こうよー」
穂が。……いや、ほかの、奴らも。
本当ははなびがいなくなって、さみしくないわけがないのに。俺のせいだとは、絶対に言わないから。だからそれが余計に苦しいなんてのは、ただの俺のわがままだった。
「……いいけど、
この暑さだと帰るまでに溶けるだろ」
「あ、そっかぁ。
美味しかったらはなちゃんにもプレゼントしたかったけど、溶けちゃうならだめだね」
はなちゃんのプレゼント何がいいかな、と。
悩む穂は、くいくいと珠紀の服を引く。どうでもいいけど、俺らを呼び止める時の仕草が女の子らしいってどうなんだ。
「たまちゃん、プレゼント何がいいと思う?」
「……俺ら全員からなんだし、多少高くてもいいんじゃない。
ノアさんにリサーチしておけばよかったのに」
「お洋服とかダメかなー?
アクセサリーとかだと恋人っぽいけど、服の方が渡しやすいんじゃない……?」
「いいと思うよ。
上下だとサイズとかめんどくさいし、ワンピースとかね」