【新装版】BAD BOYS
「ならさっさと選んでアイス買いに行こうじゃねえの。
俺抹茶とキャラメルのダブルがいい」
「……だから奢るなんて言ってねえけどな」
染の言葉を軽く流して、ショップの方へと足を進める。
「どの店にするー?」と穂がフロアを見回して、わりかし高校でも名前を聞くレディースブランドにしようと向かえば。
「はい、いってらっしゃい。
穂なら彼女感あるから大丈夫だよ」
「……たまちゃん、何も大丈夫じゃないよそれ」
「大丈夫だから、ふたりともいってらっしゃい。
別にすぐ決めなきゃいけないわけじゃないし、何着か目星つけてからにすればいいんだよ。いいのありそうか、軽く探してきて」
……珠紀ぜったいめんどくさかったんだよな。
だって選ぶ気ねえもんな。俺らにそう言うだけそう言って、自分はスマホでなんかしてるもんな。彼女と連絡とってんのか。
「むー、たまちゃんだってセンスいいのに……
もういいや、つーちゃん一緒に探そー」
そこまで「参加しません」の態度をとるなら、ついてこなきゃよかったのに。
一応全員で渡す、と言ってるだけあって、仕方なく来てんだろうけど。
「……別に参加しなくても怒らねえのにな」
適当に、すぐそばのラックにかけられたワンピースを数種類、ハンガーを動かして目視する。
どっちかというとこの店はかわいい系の服が多いし、はなびにしてはちょっと幼いか。
「……? ちがうと思うよ?」
「……ん?」
「ふふっ。たまちゃんねえ。
つーちゃんのこと、たまちゃんなりに慰めようとしてるんだよー」