【新装版】BAD BOYS
……何言ってんだこいつ。
というかそういうややこしいこと言うから誤解生むんだろ、とため息をつく。話を聞いて思いっきり噎せた穂の背中を、染がさすってやっているのを傍目に。
「お前は俺の彼女かよ。なんだその質問」
「いや、俺の方が付き合い長ぇしこの間慰めてもやっただろ!?
なのに『シイもいるだろ』とか言われたら俺だって腹立つわ」
「なんでそんなことで嫉妬してんだよどこで競ってんだよ」
ため息をつく俺に「どっちなんだよ?」って聞いてくる面倒な男を「もう芹でいい」と一蹴する。
案の定返事の仕方が不服だったようで、「おい椿」と文句を言われたけど無視を決め込んだ。
「……芹ちゃん、ぼくらの前ならそれでもいいけどー。
あんまりつーちゃんのこと好きでベタベタしてたら、ほんとにまわりから誤解されるよ?」
落ち着いたらしい穂の発言に対して、「気持ち悪いこと言うなよ」って芹は言ってるけど。
……どっちがだよ。お前の発言の方が問題だわ。
「……ほんと芹って椿のこと好きだよね」
「ふたりとも実は前世で夫婦だったんじゃない?って思うことあるよねー。
つ、つーちゃん? ぼくのこと睨まないで?」
「……いまの発言は俺もお前が悪いと思うぞ」
「元を正せば芹ちゃんが悪いのに!?」
今日もガレージの中は賑やかで。
芹アイスある?と冷凍庫を見てもらえば、中身はいつも芹が定期的にストックして食べているソーダアイスしか入ってないらしい。……残念ながら今は、ソーダの気分じゃねえのよ俺は。
「俺アイス買いに行ってくる」
「あ、ぼくも行くー!」