【新装版】BAD BOYS
電話を終えた染が階段を上ってきて、そう言う。
……あれ、なんか、染のセリフが一番ぐさっときたんだけど。
「お前らの俺に対する態度は暇つぶしなの?」
「だから、お前ばかみたいに一途だろ。
んなの真面目に取り合ってたら疲れんだろーが」
「染こいつらひどい……!」
氷見が丘組は絶対に誰も味方になってくれない、と。
早々に染に泣きつけば、苦笑気味に「もうやめとけ」と3人を止めてくれた。持つべきものは染だ。
「染さーん!
雨降ってきたんですけど、ガレージ閉めていいっすか?」
主に騒いでたのは俺だけど、なんとか2階の騒がしさが、落ち着いて。
拗ねるようにカフェオレを飲んでいたら、階下からそんな声。立ち上がって2階の端にある小窓から外を確認した染が、窓を閉めながら「いいぞ」と声を返した。
「そんな雨キツいの?」
「今はまだキツくねえけど、ここ最近は降り始めてから一気に土砂降りになるからな」
「……まあ梅雨だから仕方ないよね」
ふっと、ため息に似た息を吐いた珠紀が。
「じゃあ俺帰るよ」と、なぜかこのタイミングで席を立つ。
「止んでから帰ればいいだろ」
「お迎え。昨日折りたたみ傘壊して、今日は天気予報が晴れだったから傘持ってこなかったみたいだし。
わざわざ友だちに送らせんのも悪いでしょ」
んじゃあね、と。
言うが早いか、淡々と階段を下りていく珠紀。