【新装版】BAD BOYS



……何気に怖いな、それ、と。

言いかけて、思わずはっと彼女を見る。待てよ? 1日、ってことは、それってつまり。



「わたしの1日、椿にあげるから」



ね?と。顔を覗き込んでくるはなびを、もう一度強く抱きしめる。

いつもかわいいのにメイクまでして来てくれたようで、さらに増してかわいい。



「……誕生日おめでとうはなび」



「……ありがと」



「先にこれ、渡すわ。

荷物になるだろうし、置いていったほうがいいだろ?」



俺らから、と。離れて白い紙袋を渡せばはなびはもう一度お礼を言って、その紙袋の中身を覗く。

残念ながら箱に入れてラッピングされているから、中身は見えないけど。




「あ、ええと、部屋に置いていくわね」



「ん」



取り出した鍵でがちゃりとオートロックを解除して、はなびとマンションに足を踏み入れる。

3階に向かうエレベーターの中で家にいなかった理由を尋ねれば、『花舞ゆ』から離れることを決めたあの日から、ずっと先輩の家にいたらしい。



どうりで何度来てもいなかったわけだ。

……いや、さすがにストーカーっぽいから、芹と来たのと、その翌日の2日しか来てないけど。



「……中身気になるから、先に開けていい?」



「いーよ。はなびのなんだし」



家に入って「適当に座ってて」と俺をリビングのソファにすすめた彼女。

箱を紙袋から取り出して、それから、カラになっているはずの紙袋から何かカードのようなものを取り出した。……ん?なにそれ。



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