【新装版】BAD BOYS
そう言ったはなびは、シワになったらもったいないと浴衣を綺麗にたたんで、箱にもどす。
メッセージカードを閉ざした箱の上に乗せて立ち上がった彼女に、俺もソファから立ち上がって「行こうか」と声をかけた。
「……いまさらだけどどこ行くの?」
「秘密。
ちょっと遠出するけど、門限は?」
「……ノアが、
遅くても21時までには送ってもらいなさいって」
それならたっぷり時間はあるな。
はなびのマンションを出て、「はい」と手を差し出せば。彼女は困ったように俺を見てから、しぶしぶと言ったように手を重ねた。
「嫌なら繋がなくてもいいけど?」
別に強要してるわけじゃないし。
……だけどどうも、はなびがためらった理由はそこにあるわけではないらしい。
「ちがう。
……だって今日、デートって言われてない」
「いや、デートだろ。
……っていうか、え?デートだって言ったら普通に手繋いでくれんの?」
「……デートなんだったら、これでいい」
むすっと、どこか拗ねるようにそう言って俺から視線をそむける彼女。
はなびの機嫌は難しいなと思いながらも、デートという言葉を思いの外あっさり受け入れてくれている彼女に小さく笑う。
「……なんで笑ってるの」
「ん? 俺の好きな子はかわいいなと思って」
「……、うるさい」