【新装版】BAD BOYS



お迎え、というのは……彼女、か。

少し前に穂が「たまちゃん彼女できたんだよ」って、『花舞ゆ』のメンバーに情報拡散してたし。珠紀は恋愛とか、嫌いなんだと思ってたけど。



「……見てる限り、ベタ惚れだよねえ」



「たまちゃんって、はなちゃんにも優しかったけどー。

"彼女"はやっぱり特別なの、見ててわかるよ」



「同じ学校の、1年だっけ」



芹が前に、珠紀と彼女の隠し撮りを見せてくれたけど、珠紀の彼女はかわいい子だった。

ごめんな、ほんとは年上の美人とか好きなんだろうなって思ってた。絶対ナイスバディのお姉さんタイプが好きなんだろうなって思ってた。



「穂は?彼女作らねえの?」



芹は好きになった子としか付き合わないし、染ははなびが好きで。

なら必然的に、と会話の先を穂に向ければ、「そういうのいいかなぁって」と笑う。




「あ、雨強くなってきた。

たまちゃん迎えに行ったけどだいじょうぶかな?」



「ん〜?大丈夫だろ」



「ふふ、

明日学校行ったらたまちゃんのノロケ聞こーっと」



雨の日は、あんまり好きじゃない。

湿気で髪が纏まらなくなるし、そもそも濡れたら鬱陶しいし。……なにより。



『……ごめんなさい』



『みんなとはもう、関わらないから』



……あの日が、雨だったから。



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