【新装版】BAD BOYS
「……どした?」
「ノアの家じゃ、なくていい」
「……なら、はなびのマンションでいいの?」
聞けば、こくこくとうなずくはなび。
今日は朝から落ち着きがないなとはなびを観察している間に、彼女はワッフルを食べ終えたようで。このあとどうしようかと、思っていれば。
「この海岸線、夕日が綺麗に見えるよ」
例の常連客のお兄さんが、親切にもそう教えてくれた。
……夕日か。見るのはいいけど、この季節だと19時ぐらいまで時間をつぶさないといけないだろうし。どうする?と、はなびを見る。
その視線に気づいたはなびは、「見たい」と小さく答えて。
それなら適当に時間潰そうかと、支払いを済ませて店を出た。もちろんこの間のリベンジ、ということで俺の奢りで。
「……4時間ぐらいあるけどどうする?」
ジリジリと未だに照りつける太陽。
ピークの時間をとっくに過ぎているからじっとしていられないほどではないけど、汗ばむくらいには暑い。それでも、都会に比べれば涼しいけど。
「……話したいことがあるの」
まっすぐに、向けられた視線。
迷いのないそれに、はなびらしいなと思いながら。
「うん。……木陰、探そうか」
海とは反対側へと、歩き出す。
そうすれば彼女は黙って隣をついてきて、朝みたいに手がつながれることはない。だけど、思っていることはなんとなく同じな気がした。
「……ここは?」