【新装版】BAD BOYS







地元の海岸沿いにある『花舞ゆ』のたまり場。

ちょうど地区の真ん中南側にあって、たまり場東側に住んでいるのが俺と芹と穂。西側に住んでいるのが染と珠紀だ。



ちなみにはなびは、昔は染の隣に住んでいたから西側だったけど、今日送り届けたマンションは東側だった。

嫌だって散々言われたけど意地で家まで送った。再会して初日だけどそろそろ俺ストーカー認定されない?大丈夫?



「ただいま」



ようやく雨が止んだのが21時前で、そこで解散。

芹と穂と別れて帰宅し、家の扉を開けて早々に、たたたと駆けてくる足音。靴を脱いで上がった俺に、満面の笑みでぎゅうっと抱きついてくる彼女。



「おにーちゃん、おかえりなさぁい」



「ただいま、すみれ。

もう21時過ぎてるだろ?はやく寝ろよ?」



ふわふわとしたやわらかい髪を撫でて、そのままひょいと抱き上げる。

抱っこしてやったのが嬉しいみたいで、えへへと頰をほころばせるその姿に、思わず俺の頰も緩んだ。




「おかえり椿」



「ただいま。母さんは?」



「いまは風呂入ってるよ。

晩ご飯はいらないって連絡あったから椿の分はないけど、ケーキあるから食べて良いって」



「んー、どうしようかな」



俺の妹であるすみれはまだ3歳で、俺と歳は結構離れてる。

そもそも俺とすみれは父親が違う。今の父親はすみれの父親で、俺の父親にあたる人と母さんは離婚して、再婚した。



っていっても、別に不仲で離婚したわけじゃないし。

お互いの環境とか、思うところがあって別れただけだから、今も会いに来たりする。新しい父さんとも仲良いし、不思議な家族だ。



そして今の父さんはまだ32っていう若さ。

おかげで親子っていうよりも、仲の良い友だちに近い。



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