【新装版】BAD BOYS
「もちろん。……でも俺に言わせて欲しいかな」
椿がわたしの目の前で、優しく微笑む。
陽が落ちて徐々に暗くなる世界の中で。椿のことしか、見えなくなる。どこにいても、美しい人。
「ずっと好きだった。
はなびがあの人と付き合ってからもずっと」
「……うん」
「最低だって言うなら俺だって最低だよ。
はなびのこと略奪してんだし。……でも、それでも俺はまだ子どもだから、難しいことなんて考えないでただはなびと一緒にいたいって思う」
「うん」
「だから。……付き合って、はなび。
大事にするから、ずっと一緒にいてほしい」
……ああ、やっぱり。
わたしは、こういうところに惹かれてしまうんだろう。ノアと付き合った時、こんなに真っ直ぐには思いを告げられなかったし、付き合い方も違った。
「ありがとう椿。……いっしょにいたい、な」
だからこそ、わたしもはっきりしなきゃいけない。
そう思って同じように気持ちを返せば、椿はぎゅっとわたしのことを抱き締めてくれた。
「……やっと叶った」
耳元で小さく呟かれたその声に、心臓が掴まれたみたいな気分になる。
そろりと彼の背中に腕を回すと、すこしはやい椿の心拍が聞こえて、なんだかくすぐったくなった。
「幸せにする」
頬を指先で撫でられて、そのまま顎を持ち上げられる。
それだけですごくドキドキして、恥ずかしさを押し隠すようにまぶたを下ろすと、二秒後に触れる吐息。