【新装版】BAD BOYS
「あー……芹?
俺がまったく連絡しなかったの、怒ってる、よな……?」
昨日どうなったのかをたった今まで連絡していなかったらしい椿は、おそるおそる芹に連絡しているけれど。
これじゃあわたしと芹どっちが彼女なのかわからない。……いや、わたし、だけど。
「ごめんな、いや……そうじゃねえよ。
ん……はなびとはちゃんと仲直りした」
椿の隣に座って、腕に絡むようにして甘えてみたら、器用に頭を撫でてくれて。
そのまま目を閉じていれば、微かに芹の声は聞こえてくるけど、何を言ってるのかまではわからない。
「とりあえず、後でそっち行くから。
はなびもたぶん一緒に、行けるはず」
そう言って電話を終わらせた椿は、スマホを置いた手でわたしを抱き寄せて。
見つめ合ったかと思うと、くちびるがかさなる。
昨日思ったけど、椿は愛情表現が得意だと思う。
割と好きって言ってくれることは多いし、キスするの好きみたいだし、それも全部わたしの様子を見ながらで、優しい。
「ん、」
「……かわい。好きだよはなび」
甘い言葉に「うん」って小さく返して、さり気なく手を背中に回す。
細いくせに意外としっかりしてるから、そういうところにドキマギさせられて困る。視線を絡ませると、やわらかく笑ってくれた。
「たまり場、いこうか」
耳元で囁かれて、擽ったくなりながら頷く。
椿が昨日"付き合ってるの内緒にしとこう"なんて言うから頷いたけど、こんなにスキンシップが激しいと付き合ってることはすぐにバレそうだ。
「……出掛けるなら、お化粧するわね」
ゆっくりと離れて、そう告げる。
ん、と短く返事した彼に見送られて、寝室にあるドレッサーの前で軽くお化粧して、またしても「かわいい」と素直に感想を言ってくれる彼と外に出た。