【新装版】BAD BOYS



「歯磨きしたならだめだろ〜?」



「えぇー」



「……あとでもっかい歯磨きする?」



「うんっ、するよー」



この時間にあんまり食わせたくはねえんだけど。

いつもはちゃんとしてるし大丈夫か、と。フォークにさしたいちごを口元に持っていけば、ぱくりと食べるすみれ。



しかも欲しかったのはいちごだけじゃないらしく、結局ほとんどのフルーツをすみれが食べた。

……こんな時間なのに、これだけ食わせたら母さんに怒られそうだな。



怒られたらそこで黙認してる父さんに庇ってもらおう。




「あら、すみれ。

お兄ちゃんにケーキ分けてもらったの?」



「ほら、歯磨きしておいで。終わったら寝ような」



母さんが出てきたから、そそくさとすみれを促せばお利口に洗面所に向かう。

母さんにジト目で見られたけど、すみれがかわいいんだから不可抗力だ。あんなキラキラした目で「ほしい」ってねだられたらダメとは言えない。



「はみがきしたよー」



「ん、偉いな」



すみれが歯磨きをしてる間に、残ったタルトを食べ終えて。

頭を撫でて褒めてやれば、「いっしょにねよー?」と甘えてくるすみれ。一応すみれの部屋もあるけど、すみれがいつも寝てるのは俺の部屋にあるベッド。



あまりにもすみれが俺にべったりだからと、少し前に父さんが俺の部屋のベッドを大きいのに買い換えてくれて。

俺の帰りが遅くても、大体すみれは俺の部屋で寝てる。



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