【新装版】BAD BOYS



内心こっそり呆れていたら、次にばちっと視線が合ったのは芹で。

その隣では穂がプリンアラモードを平らげていた。美味しかったのか幸せそうな顔をしてる。



いつの間にか髪を染め直したらしい。

淡いブルーが涼しげで綺麗だ。夏っぽい。



「あ、そーだ。

お前、結局俺とデートしてなくね?」



「っ、どいつもこいつも……!

特にお前は関係ねーんだから話をややこしくしようとするなよ芹!」



「メシ行こうって話してるだけじゃねーか」



誰よりも話をややこしくしている原因は椿だと思う。

みんなその様子を見ていて楽しいからか、何も言わないし。結局このあと椿はみんなに、わたしをデートに誘うなだとか色々言ってたけれど。



誰も守る気がないらしく、帰ってすぐに芹から「いつにする?」と連絡が来ていたほどだ。




家まで送ってくれた椿には、当然それを言うわけもなく。

夏休みの予定を送ったら、花火を見に行くのを含めて2回デートできるらしい。8月いっぱいなのにデートできるのは2回なんて、意外とわたしも椿も忙しない。



「……これはさすがに浮気じゃないでしょ」



誰もいない部屋で、ぽつりとつぶやいて。

空いている日を芹に連絡すれば、「りょーかい」との返事がかえってくる。



その日で決定らしく、念を押すように送られてきた「椿に言うなよ」の一言に、思わず笑ってしまった。

わたしだって自分から進んで事をややこしくしようとは思わない。……っていうか。



「……気づいてないのね、ほんとに」



椿は本当に、まわりが見えてない。

他人の感情に敏感に反応してしまうから、ああやってみんなに揶揄われるだけで。



わたしがもう随分と、椿で染められていること。

……すこしは自覚してくれれば良いんだけど。



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