【新装版】BAD BOYS
リビングにもどれば、真剣に絵を描いてるすみれと、真面目に課題に取り掛かっているはなび。
すみれの方が真剣だなと声に出さずに小さく笑って、腰を下ろしてノートを広げた。夏休みに補習で呼び出されたせいで、意外にも結構やってある。
「……そういえばさ、はなび」
「うん?」
「はなび進路もう決めてんの?」
前にもシイとこんな話をしたけど。
そういえばはなびの学校でのことはほとんど知らないし、もちろん進路の話も今がはじめてだ。顔を上げたはなびの髪が、動きに合わせて少し流れた。
「うん……ある程度は。
夏休み入って、もう既に2箇所は大学のオープンキャンパス行ってきたわよ」
……だろう、な。
はなびは真面目だし、やっぱり考えてんだろうな。芹ですら担任と話してある程度大学絞ったって言ってたしな。
「……椿は?」
「……まだ何も。
とりあえず大学進むって言ったって、何するか決めてないなら、もったいないしなって」
ノア先輩は就職のために大学入ったって言ってたか。
完全なもしも話だけど、はなびとこのまま付き合っていくとして結婚するとしたら、当然養わなきゃいけねえし。就職するつもりでは、いるけど。
だからといってそれにこだわって進学する理由もないし。
なるようになるとは思ってきたものの、実際どうにもならないのが現実なわけで。
「……椿、
学校の先生になりたいって言ってなかった?」
「……? ああ……
女子高の教師になったら幸せだろうなって妄想話を『花舞ゆ』のメンツでしてただけで……いやマジでごめんなさい反省してるから怒らないで」
「……ほんとみんなロクなこと考えてないんだから」