【新装版】BAD BOYS



「や、うん……なんかごめん」



「もう1回出掛けてこようか?」



「仕事帰りなんだろ。

邪魔されたとか思ってないし、いいって」



おかえりを言えば、「ただいま」を返す父さん。

はなびに優しく声をかけてるけど、はなびはそれよりも今のシーンを見られたことによっぽど動揺していたようで。ちょっと涙目になっていた。



「お、お邪魔してます……」



「ふふ、どうぞごゆっくり」



……連絡はなかったけど、勝手に父さんが帰ってくるのは夜だと思い込んでたし。

そもそも帰ってきた時に音で気づくはずなのに俺もはなびも気づかないって、どんだけキスに夢中なんだよ。




「すみれ昼寝中? 部屋連れて行こうか?」



「んーん、俺はなびと部屋にいるから。

すみれは……んー、父さんに任せるわ」



「うん、了解」



じゃあ行こうか、と。

課題を纏めて、同じように荷物をまとめた彼女を連れて部屋に上がる。お菓子とかそのままになってるけど、それは後で片付けるとして。



「……続きする?」



「しないから……っ。

はじめましてなのにあんなの見られて、もうわたし恥ずかしすぎて顔見れないんだけど……」



……"あんなの"って。

まあ初対面でキスシーン見られることなんかまずないからなと苦笑して、はなびの頭を宥めるように撫でた。



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