【新装版】BAD BOYS

・twenty-three








「すみれちゃん、喉渇いてない?大丈夫?」



「うん、だいじょうぶー」



ニコニコと笑う姿が可愛らしい。

今日はわたしのあげたピン留めではなく、リボンのついた麦わら帽子をかぶっている彼女。理由はひとつ、わたしと一緒に外にいるからだ。



「もうちょっとだから、頑張って歩こうね」



「はぁい」



遡ること2日前。

椿に合わせてたまり場に出向いていなかったわたしは、さすがに毎日ではないけれど椿の家にいて。2日前も、同じようにお邪魔していたのだけれど。



「げっ、うわ……まじかよ」




すみれちゃんと一緒に折り紙を折っていたわたしは、椿の声に顔を上げた。

どうしたの?と問えば、スマホの画面を見せられる。どうやらメールらしく、相手は「担任」だそうだ。……担任の先生とメールなんて仲良しね。



『計算ミスでお前と藪雨の補習の日数が1日足りない。

下記の日付で来れる日に1日来るように。来なかったら留年』



……脅しのメールらしい。

でもまあ、たとえそれが先生の計算ミスだろうと、留年と言われてしまえば行かないわけにはいかず。椿は書かれた日程を、睨んだのだけれど。



「……いや俺どれも行けねえし」



生憎どの日も、阿鷹家の両親が不在という事実。

そうなればすみれちゃんの面倒を見る人がいなくなってしまうから、困る、ということだった。



「……わたしでよければすみれちゃんと一緒にいるけど」



おずおず、そう名乗り出れば。

心底申し訳なさそうにしながら、椿は「頼んでいい?」とわたしに大事な妹を任せてくれた。



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