【新装版】BAD BOYS
それを受け取って写真におさめれば「桃に自慢する」そうだ。
……そういうとこ、ほんとに可愛いな。
「でも時間ねえから、外行こうかお姫様」
「え、もうそんな時間?
うそ、ごめんね、わたしゆっくりしすぎた」
「ふ、いいよ。そんな遠くないし」
行こうか、とはなびの手を引く。
ぎゅっと握り返してくれたはなびの指が動いて、繋いだ手から指同士が密に絡まる。
「あ、椿」
慌ただしく準備した彼女と家を出てエレベーターに乗っていたら。
何かを思い出したようにはなびは俺を呼んで、それからにっこりと笑う。
「髪、綺麗にアレンジしてくれてありがと」
俺の肩を掴んで若干移動させたかと思うと、背伸びするはなびと、ほんの一瞬触れるくちびる。
……ああもう、かわいすぎるだろ。
俺を動かしたのは防犯カメラにうつらないようにしたらしい。
照れくさそうにはなびが笑った時にはエレベーターが1階に到着して、「はやく行こう?」って微笑む姿が子どもみたいに無邪気で。
「あんまはしゃぎすぎて転けるなよ?」
「そこまで子どもじゃない」
「……そこは手ぇ繋いでるから大丈夫だって言えよ」
ふっと笑い合って、歩き出す。
向かう先はたまり場近くの公園。というのも、やっぱり綺麗に見えるのは『花舞ゆ』のたまり場前で。その近くでふたりで見れそうな場所といえば、そこぐらいだった。