【新装版】BAD BOYS
たまり場の周辺は、あまり人が近づかないし。
運良くふたりきりだったら、ゆっくりできる上に誰にも聞かれずはなびと甘い会話をしていられる。
「そういえば、今日の椿の服って……
この間わたしが選んであげた服、よね?」
「ん?気付いた?」
「うん。本命の人とデートするのに使われたらいやだなぁって思ってた」
「……本命の人とデートしてるけど?」
「……わたしでよかった」
ぽつりと呟かれたそれ。俺を浮かれさせるにはあまりにも十分すぎて、思わず「あとでキスしていい?」なんて口走ったけれど。
「人がいなかったら」と返してくれるはなびに、本当に想いが通じ合っていることを実感する。
「……案外、口に出すよな、はなび」
「ん……? ああ、うん。
椿に好きだって言ったときに、もう言いたいことを我慢するのはやめようと思って」
「……俺は嬉しいよ、それ」
言ってくれれば、俺は安心するし。
嬉しいことも嫌なことも、はっきり言ってくれた方が、ちゃんと分かり合える。そう伝えると、はなびは小さく頷いてみせた。
「あとで……ぎゅって、して」
「……俺の彼女がかわいすぎてつらい」
「ねえそういうの恥ずかしいから、
ぜったいにほかの人の前で言わないでね?」