【新装版】BAD BOYS



……気にしてる俺だけが、馬鹿みたいだ。

はなびが"そう"だってことは、言われなくても分かってたのに。



「……あのね、わがまま言ってもいい?」



はなびの手が、そろ、と俺の服を掴む。

いますぐ結んだ彼女の髪を解いて指を絡ませ、悩ましい表情と声をひとりじめすることで劣情を満たしたい衝動に駆られるけれど。



「ん?」と冷静に聞き返しながら、

彼女の細い腰に腕を回して引き寄せた。



「連絡取らないでとか、関わらないでとかそんなことは言わないけど……

女の子と、あんまり仲良くしないで……ほしい、かな」



「、」



「や、うん……

わたしも『花舞ゆ』のみんなと仲良いから、そういうの無茶だってわかってるんだけど……でも、その、友だちって目で見れないのが嫌っていうか、」




俺の喉がゴク、と動いたことには気づかなかったらしい。

精一杯伝えようとしてくれているけれど、どうも早口で。ごにょごにょと言いづらそうなはなびが"ヤキモチ"を妬いているんだとすれば。



「はなびさ……

そんなに俺の前で可愛くなって、どうすんの?」



「……かわいく?」



「そう。

……俺の前でそんな可愛くて素直なとこばっかり見せられたら、俺だってはなびのことをほかの男になんて触れさせたくなくなる」



まあ、もともと触らせる気なんて微塵もないけど。

言葉で伝えたいのに、もどかしすぎるほどの愛しい気持ちはそれじゃ伝わりきらなくて。触れ合わせたくちびるから、伝わればいい。



「はなびを嫌な気持ちにさせるような女の子と、仲良くしないから。

……安心して。俺が好きなのははなびだけだよ」



彼女の控えめな手が、首裏に回される。

その行動だけで、返事には十分すぎるほどだった。



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