【新装版】BAD BOYS
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「……なんでこんなことになってんだ」
がやがやと騒音にかき消されそうなほどの声でつぶやく。
それを目ざとく聞きつけたシイは「呼び出されたからじゃないの?」とまるで他人事。実際他人事なんだけどなと顔をしかめて、「食べる?」と渡された紙皿を受け取った。
「せっかくだから花火ここで見ればよかったのに。
バーベキューしながら花火見るって、何気に人生でやってみたいけどそう出来ない体験だよね」
「俺ははなびとふたりで見たかったの」
「……だから遠慮して、
終わってから呼び出してあげたんじゃん」
そう。俺は今なぜか、『花舞ゆ』のたまり場前にいた。
なぜか、というのは、花火がすべて打ち上がった後に「ねえ連絡きたんだけど」とすっかり視界から消えていた珠紀に声をかけられたからで。
連絡、というのが、たまり場前でバーベキューやってるからこいよ、という芹からのものだった。
あのままふたりでイチャイチャの余韻を楽しんで帰りたかったっていうのに、どうしてこんなむさ苦しいところに来てんだ俺は。
完全に夏を謳歌してるメンバーたちがスイカなんかも用意していたらしく、女子ふたりは俺から離れたところにいる。
俺もあっち行きたい。こんな暑いときにバーベキューの網のそばにいたくない。肉は美味いけど。
「っていうか、『花舞ゆ』と『BLACK ROOM』が混ざるとこんな感じになるんだな……」
いつもより数が多いと思えば、顔見知りじゃない子がちらほらいる。
あの憎きはなびの初恋の王子様も、ちゃっかりいるけど。……おいこらはなびに近づくなっての。
「まあね。ちなみにこのバーベキュー、4割『花舞ゆ』のメンバー内で集めた金で、
残りの6割はウチの姉さんのポケットマネーらしいよ」
「……ポケットマネー?」
「そう、ポケットマネー。
……姉さんは金の使い方をほんと改めたほうがいい」
破産されたら困るんだけど、と。
ため息をついているシイ。だが肝心なことに、俺らはまだその"姉さん"と顔合わせをしていない。