【新装版】BAD BOYS
彼女は話しかけにくるメンバー全員に笑顔で会話して、それからずっと隣にいた唯一年上に見える男性と何か会話を始める。
彼女に気を取られていたからはっきりと見てたわけじゃないけど、いま話してるあの人が、車を運転してきた人だと思う。
「まさか顔出しに来てくれると思ってなかった」
「……おかえり」
押し付けられた紙皿を返して、シイに「美人な人だな」と率直な感想を述べてみれば。
ふっと自慢げに口角を上げたシイは、「姉さん年齢不詳なんだよ」と笑う。
……年齢不詳って。
や、確かにいくつか分かんねえな。20手前にも見えるし過ぎてるようにも見えるし、なんていうか大人の色気が凄い。
「シイくんシイくん。あの人はー?」
マシュマロを焼きつつ、あの人、と穂が問うのは、いま彼女が話してる相手。
やっぱり彼が車を運転してきた人らしく。
「『BLACK ROOM』って、特殊なとこにあるんだよね。
『Rinnne』っていうバーの看板出してる扉開けたら地下に繋がってて、その地下にバーと『BLACK ROOM』の入口がそれぞれあるんだけど、」
「うん、」
「ヒトカさん……あの人の名前ね。
ヒトカさんは、その『Rinnne』のバーテンダー。姉さんがルームを設立した時から一緒にいるらしいよ。仲良いんだよねあのふたり」
「付き合ってんじゃねーの?」
「んー……どうだろうね。
噂ではルーム外に付き合ってる男いるって噂もあるし、まあ、美人だから噂っていくらでもついてまわるし」
「……本人に聞けばいいじゃねえの」
「聞いたことあるけど、
『大人の女の恋愛事情は体重以上にシークレットなのよ』って誤魔化されたんだよ」