【新装版】BAD BOYS
「そ、れで……どうしてここに?」
「ん?
許嫁が攫われたんだから、助けに来るしかないでしょ?」
「いや、許嫁って形だけなんだろ。
俺が彼氏なの。攫ってんじゃなくて、俺の」
そう言って、はなびを後ろから抱きしめて肩に顎を乗せると、「へえ」とつぶやく八王子。
憎たらしいなと俺が眉間を寄せたことに気づいた八王子は、「まあいいけど」と一言口にしてから。
「はなび、両親に彼氏変わったって報告してないらしいね」
「……そんな言い方しないで」
「ごめんごめん。
でも、めちゃくちゃお怒りだったよ?」
触れていないと気付かない程度に跳ねる、はなびの肩。
かと思うと、「勝手に言ったの?」と明らかに怒った声色に変わる。それを聞いてもへらりと笑っていられる八王子は一体何を考えているのか。
「人聞きの悪いこと言うね。
俺はてっきり公認だと思ってたんだよ」
「、」
「まあ仕方ないか。
言ったところで反対されるでしょ」
「……うるさい」
「随分と、前の彼氏気に入られてたらしいね。
年上でスペックも高いし今は一流の大学に入って勉強中。ホストの仕事してるのに相手の両親に認められるなんて相当だよ?」
「うるさい、それ以上喋らないで」