【新装版】BAD BOYS



本日のデザートらしい、バニラアイスが乗ったクレームブリュレ。

アイスをスプーンで掬いながら、頬杖をつく桃。……黙ってれば可愛いと思う。



「誕生日に付き合ったんでしょ?

ってことはもう2週間近いんだし、とっくにちゅーはしたでしょ?」



「……なに聞かれても言わないわよ」



「そう言うってことはー、

もうやらしー関係になっちゃったんだ?」



本当に、黙ってれば可愛いのに。

なんでこう、残念なんだろう。黒縁のだてメガネをかけていつも以上に大人っぽい杏子と足して2で割ればちょうどいいのに。



「なってないから」



そう一言で切り捨ててわたしもクレームブリュレにスプーンを入れたところで、杏子のスマホが鳴る。

どうやら電話らしく、ちらっと画面を確認した杏子は、「ちょっと出てくる」と席を立った。




「ん、いってらっしゃい」



バイト先の人なのかもしれない。

普段杏子が電話してるところなんて滅多に見ないし、急遽来て欲しいって言われたらどうするんだろう、と。



ふつふつ考えながら、ブリュレを食べ進める。

わたしと桃がほぼ同時にそれを食べ終えたタイミングでもどってきた杏子に、「誰だったの?」と桃が尋ねてきたかと思えば。



「誰……、友だち……?」



「……なんでそんな疑問系なの」



「この間、バイト帰りに絡まれて。

助けてくれた人で、仲良くなったから、」



「まさかの恋愛フラグ……! 杏子ひどい!

彼氏いらないって言ってたのに! 裏切り者!」



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