【新装版】BAD BOYS



助けた相手が男性だとは言ってないわよ、と言ったところで桃は聞く耳をもたないと思う。まあ男性だと思うけど。

普段はそんなやり取りを好まない杏子が連絡先を交換したってことは、すこしは気があるんだろうし。



「どんな人だったの?」



「背が高くて、金髪」



「金髪!?

真面目な杏子が金髪の人と付き合うの!?」



「そんなこと言ってない。

あと、金髪だけど……赤と青のメッシュ入れてて、」



「ちょっと待ってわたしその人知ってる」



金髪、だけならまだしも。

赤と青のメッシュを入れてる人なんてわたしはひとりしか知らない。っていうか早々いないでしょ、そんな人。




「芹のことでしょ?」



「……、下の名前聞いてない」



「一樺」



言えば、彼女は、「ああ、うん」とうなずくけど。

……世間って狭いわね。



「はなびはなんで知り合いなの!?」



「だって『花舞ゆ』のメンバーだし……

あと、芹と椿が仲良いのよ。あのふたりはお互いに大好きだからよく一緒に遊びに行ってるし」



夏休み中に芹のバイクでツーリングしてくるって言ってたし。ついさっきも、椿から「今日は芹と晩飯食べてくる」って連絡があった。

まだ昼なのにもう晩ご飯の予定決めてるのか。……っていうかわざわざ報告してくるのかわい、じゃなくて。



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