【新装版】BAD BOYS
「ってことはいつかダブルデートとかしちゃうの!?
やだっ、はなび『花舞ゆ』の人紹介してよ……!」
「……付き合うなんて言ってない」
「でも脈ありなんでしょ!?」
「………」
あれ。杏子が押し黙った。
これはもしかして本当に脈あり……?詳しい成り行きはわからないけど、脈ありなのでは……?
「いいから、はやくプール行こ。
プールチェアの場所取りするって言ってたんじゃないの? 桃」
杏子にしてはめずらしすぎる、あからさまな話題のそらし方。
深追いするのかと思いきや、「あっそうだった」と慌てたように桃が席を立つから、これ以上は聞けないなとわたしも席を立った。
「……芹なら、いいと思うわよ」
「、」
「優しいし、理解してくれるし。
……わたしに何か手伝えることあったら言って」
「……ありがと」
「ちょっとふたりとも、はやく!
プールチェアすぐ埋まっちゃうんだから行くよ!」
のんきに話すわたしたちを、慌ただしく呼ぶ桃。
本当に杏子が芹と付き合ってくれたら、いいと思う。
芹は、ただただまっすぐで。
たまに不器用だけれど、きっと大切な人のことは、すごく大事にしてくれるだろうから。