【新装版】BAD BOYS



「ねえ、芹ー」



翌日のわたしの行動といえばもう、早かった。

午後からたまり場行くね、と連絡して、訪れた『花舞ゆ』のたまり場。



午前から来ていた椿に「昨日楽しかった?」と尋ねられて返事した次の瞬間にはもう、芹に話しかけていた。

ご機嫌なわたしから、何かを悟ったように顔をしかめる芹。「なんだよ」と口にするその姿は、あきらかに警戒してる。



「この間ナンパから女の子助けたんだって?」



「あ? あー、そういうこともあったな」



「助けた相手の連絡先聞いたそうね?」



ふふっと笑みを深めるわたしと、警戒の色を濃くする芹。

「はあ?」と言っているけど、目がかなり泳いでる。わかりやすい。




「これ見てどう思う?」



見せたのは、スマホの液晶に表示された杏子の写真。

無表情な彼女にしてはめずらしい微笑。昨日撮影されたそれは、わたしが桃に頼んで送ってもらったものだ。



「なっ、おま、」



「かわいいでしょ? かわいいよわね?

杏子にしては珍しい微笑なの、かわいいでしょ?」



「お前怖い。……つーか、なんで知ってんだよ」



「だってわたしと杏子同じ学校なんだもの。

ちなみに昨日一緒にいたけど、電話かけてきたでしょ?」



「俺の行動筒抜けじゃねーか……!」



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