【新装版】BAD BOYS
叫ぶ芹をよそ目に、「見せてー」と腕に抱きついてくるのは穂で。
写真を見せれば、「綺麗な子だねー」と言ってくれる。
「しかもこれ水着よ? 送って欲しい?
この杏子の写真送ってほしい? 芹」
「お前ニヤニヤしすぎ」
はあ、とため息をつく芹。
だけどなぜか食いついたのは椿の方で、わたしの手からスマホが消えたかと思うと、彼は写真を一瞥してからぎゅっと眉間を寄せた。
「はなび」
「……なんでちょっと怒ってるの?」
「昨日遊園地行くっつってなかった?」
……あ、まずい。
杏子と芹のことに気を取られすぎて、椿にプールに行くことを黙っていたのをたった今思い出した。まずい。間違いなく怒られる。
「い、行ったのは遊園地よ?」
「じゃあなんで水着?」
手に持ったままのスマホの画面を撫でた椿。
当然、そこには昨日撮影した写真が色々と収められているわけで。わたしの写真もあるわけで。
「え、ちょっと椿何してるの?」
「可愛い写真だったから俺のスマホに転送した。
……じゃねえんだよ。たとえ遊園地の中のプールだろうがせめて行くことぐらい報告してくんない? 露出多いの、まじで気が気じゃないから」
「……だって『だめ』って言うでしょ?」