【新装版】BAD BOYS
第6章 夢はいつか現実に変わる

・twenty-six








「はなびちゃーん」



さっきまで母さんと洗い物をしてくれていたはなびには、来客なんだからとリビングで寛いでもらって。

彼女が手土産にとわざわざ立ち寄って買ってくれたケーキの箱を、開封していたら。



すみれが、はなびの後ろからぎゅうっと抱きつく。

なぁに?と振り返ったはなびに、「はなびしよー?」と返すすみれ。



ふたりともかわいい。

それは認める。俺の彼女も妹もかわいい。



だけれども、だ。

……なんで俺よりもすみれに抱きつかれてそんな嬉しそうなの?はなびさん。



「そうね。

でも椿がケーキ用意してくれてるわよ?」



「ケーキ、あとでいいー」




……すみれ。

ついさっき晩飯中に、「ごはん終わったらケーキたべたい」って言ったからお兄ちゃんは用意してんだよ?心変わりすんの早ぇな?



「……ケーキあとで良いなら先に花火する?」



でもまあ、まだ子どもなんだし、と。

文句を言わずにすみれに声をかければ、「する!」と元気な返事がかえってくる。かわいいな。



「ふふ、じゃあ花火しよっか」



「はなび、玄関に今日買ったやつ置いてあるから先外出てすみれと開けといて。

これ片付けたら俺も外行くから」



「うん、わかった。すみれちゃん行こう」



言うが早いか、あっという間に出ていくふたり。

すっかりすみれにはなびのこと取られてんなと小さくため息をついてケーキの箱を閉じていれば、くすくすと笑う声が耳に届く。



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