【新装版】BAD BOYS
「好きな相手と一緒に……
線香花火するのって、やっぱり青春よね」
「そうだねえ。
でも好きな相手とふたりで線香花火するシチュエーションって、結局は仲良くて両想いみたいな相手とじゃないとできなくね?」
膨らんだ火の玉から、ぱちぱちと火花が上がる。
そうねと、彼女が静かにつぶやいたタイミング。まるで計ったかのように同時にぽたりと落ちた花火に、お互い視線を絡ませて。
「ここ、外……」
「……誰も通んないって」
あっという間に終わってしまった線香花火をバケツに入れると、左手を彼女の頰に添える。
そのまま口づければ、一度は無いような抵抗を見せたはなびも、何も言わずに目を閉じた。
まだ線香花火はちょっとだけ残ってるけど。
今ははなびに触れたくて仕方ない。
「……すみれじゃなくて、俺にも構って」
まだ触れるつもりはないけど。
はなびのすべてを奪ってしまいたくなる時だってある。思考なんて全部熱で溶かして、俺のことだけしか考えられなくなればいいのに、とも思う。
「構ってる、つもり……よ?」
「ほんとに? でも、」
キスの先に進んでしまいたい欲求なら、はなびとキスを交わすたびに膨らむけれど。
それでも何もしないのは、焦らしてるから。
既に欲しくて欲しくていっぱいなのは俺の方だけど、はなびもそうなればいい。
俺に一秒でも早く求めてほしいってそう思うその瞬間にようやく触れて、枯渇したところに愛を注いでやりたい。我慢した分だけ、与えられるご褒美って極上だろ?
「そんなんじゃ、全然足んねえよ」