【新装版】BAD BOYS







「ねえ、椿……この間も来たでしょ?」



「嫌じゃないくせに」



「そりゃあ、ね。

ふふ、椿ってばほんとイケナイ子」



はなびの口からはじめてノア先輩を好きと聞いた時、動揺したのは本当だけど、実は大してそこまで本気じゃないだろうなって思ってた。

ふたつ年上で、間も無く卒業する先輩。



そのうち諦めるだろうって、そんなことを考えて油断してたのが悪かったのかもしれない。

先輩と笑顔で話すはなびにイライラして。



「カラコン……はずして、椿。

あたしそれ、嫌いなの……ちゃんと、見て?」



今じゃ俺の唯一の「元カノ」なその人は、夜遅くまで両親が家に帰ってこなかった。

それをいいことに何度も家に押しかけて、感情に任せて。主に醜い嫉妬の感情だけれど。




「無理。前はカラコン好きって言ってたじゃん」



「かっこいいとは思うんだけどねー……

なんか、すごく、虚ろに見えて嫌なの」



「気のせいだって。

っていうか、どうせ気持ちいいだけでそんなの気にしてないでしょ?」



カラコンを外したってどうせ何も変わらない。

俺にとって特別なのははなびで、本能的なものを発散する相手なら誰でもいい。



先輩のことは何度も相手をしてあげてるけど、だからって特別になった気でいられたら困る。

俺のはじめてもらっちゃった、ってはなびに自慢したらしいけど、笑えるだろそれ。はじめてははじめてでも、俺の遊び相手第一号だよ。



「ん、椿とするの、気持ちよくて好き……」



「なら、他は何だっていいじゃん」



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