【新装版】BAD BOYS
「美容師。……どう思う?」
この間、花火を見に行く時、彼女の浴衣に合わせて髪をセットしてあげたけど。
よくよく考えれば、あれは俺が好きでやったこと。積極的に自分から何かやりたいと思ったことはないと思っていたけど、そんなこともなかった。
「……椿目当ての女の子がたくさん来そうね」
「ごめん、どう思うってそういうことじゃない」
「あんまり女の子のお客さんばっかり入るとわたしが嫉妬する」
「嬉しいけどそういうことでもない」
「ふふ、冗談。
……前に教師が似合うって言ったけど。いまそう言われたら、すんなりイメージできるくらいには合ってるって思った。いいんじゃない?」
はなびが、そう言って微笑んでくれる。
それを聞いて、自然と安心した。やっぱり誰よりも、はなびの意見が一番気になっていた部分はある。
「応援してるから」
「ん……」
両親も「いいと思う」って言ってくれたし。
まずは今やりたいことを叶えて。それから、だ。はなびをお姫様にしてあげるのは。
「で、俺バイトしようと思うんだけど」
近くの美容室で、と。
高校生も募集してる求人を見つけたことを話せば、はなびは「行動が早い」って笑ってから「頑張って」と言ってくれる。
バイトする理由は……まあ、やりたいことと、あとは、早いうちから貯金しとくのも悪くないかなって、そういう理由だ。
いつかはなびと一緒に住むことがあれば、その時にでも使えるように。……そこまで考えてることは、まだはなびには言わないけど。