【新装版】BAD BOYS
動き出そうとした俺らを引き止める、はなびの声。
どうしたの?と首を傾げれば、「うち来る?」とそんな提案。
たまり場よりも寛げるだろうという彼女の気遣いで、俺らは一人暮らしのマンションにお邪魔していた。
当然はなびのマンションにアルコールがストックされているわけもなく、途中で染と珠紀が酒とそれに合う簡単なおつまみを買い出しに行った。
理由は至極単純。
私服を着てれば到底高校生に見えないふたりだからだ。
「未成年なのに平然とお酒が買えるふたりが怖い」ってはなびは言ってたけど。
まあ、童顔の穂を成人というのはさすがにキツいし。はなびにそんなリスクは負わせられねえし、俺が加わると若いノリになるから、と却下される。
芹は、場合によっては年齢確認されそうなときあるし。
やっぱり染と珠紀が行くのが最善策だ。
「……おいおい。
俺がもどってくる前に出来上がってるってどーゆーことだよ椿」
はなびはやめといたら?と。
彼女にはノンアルコールのカクテルを勧めて、俺は談笑しながら普通に、飲んでたはずなんだけど。
「ん? ん〜……おかえり、芹」
「おー。
……コイツ度数高いの飲んだんじゃねーの?」
すぐそばにあったロング缶が、芹の手に奪われる。
ソファの下に座って、ソファに寄りかかるようにして座っている俺。すでにふわふわする。……ちょっと勢いよく飲みすぎた、かも。
「椿ってお酒弱いの?」
「強くはないよねー。
ものによるけど、3缶開けたら大体酔ってるかなぁ。それ度数結構なやつだし、勢いよく飲んでたから酔っちゃったんじゃないー?」
「そういう穂もすでに顔赤ぇーよ」
俺がすでに酔い気味だからか、缶の残りは芹に取られた。
まあいいけど、とおぼろな思考で考えて、「はなび」と隣の彼女に身を寄せる。