【新装版】BAD BOYS



「じゃあ、またね」



──午前11時前。

ようやく各々帰る気になったようで、一斉に解散する。わたしは今日は予定はないけれど買い物に行くし、染は帰って着替えたらたまり場に行くらしい。



穂と芹も帰って一度シャワーを浴びてからたまり場に行くようで、珠紀は午後からみやちゃんとデートするみたいだ。

芹と穂は方向が違うからマンションの前で別れて、駅のそばで染と珠紀のふたりと別れる。



そのまま電車に乗って車窓にうつる自分を見ると、思った以上に髪が伸びていることに気づいた。

……予約空いてたら今日髪切っちゃおうかな。



そう決めてスマホに触れると、スマホで予約サイトを開く。

確認してみれば偶然にも、17時からの予約だけは空いていて。



「……いきなり切ったら、椿驚くかな」



明日会う予定はないけれど。

明後日デートするし。椿が髪をいきなり染めてずいぶんと驚いたから、わたしも驚かせようかなとその場で予約を入れた。




「お。いらっしゃいはなびちゃん。

もうすでにかわいいのにこれ以上かわいくなるなんて、」



「こらこらこらこら。

和馬(かずま)、お客さんを口説くんじゃない」



──17時前。

お昼ご飯は出先で済ませ、買い物を終えて地元にもどってきたあと。スーパーで食材を買ってから家に帰り、もう一度美容室へと出てきた。



中学の頃からお世話になっていたお店で、現在も専門学校に通いながらアシスタントとしてお仕事しているこの若い店員さん。

どうやらこのお店のオーナーの息子さんらしく、わたしが髪を切ってもらうのは、お父さんの方だ。



和璃(なごり)さんこそ、

女子高生の髪を切ってあげるからって浮かれ、」



「和馬。

母さんに言いつけられたくなかったら口を慎んでそこの片付けを終わらせておくように」



しかもお仕事をしやすいように、両親のことも名前で呼ぶという面白い家族。

「職権乱用!」と小さく叫んだ彼は、文句を言いつつも素直に片付けに入った。



< 423 / 463 >

この作品をシェア

pagetop