【新装版】BAD BOYS
「染めたの? かわいいし似合ってるよ」
「あ、りがとう」
「ん、かわいい。
けど、急に染めるなんて俺への仕返し?」
……そうではない、とは、言い切れない。
「それもあるけど」と言いながら彼の首裏に腕を回せば、彼は笑みを深めてくちびるを重ねる。
「ブルー系にしたら……
ちょっとは、椿に近づける気がしたの」
昨日の朝起こしてあげて、顔を合わせたのに。
たった数時間がもどかしくなるなんて、本当にどうかしてる。だけど椿が同じように求めてくれるから。
どうかしてるのは、椿も同じだ。
「はなび」
呼吸まで貪るみたいにキスされて、彼がわたしを呼ぶ声もまるでフィルターを通したかのように薄くぼんやり聞こえる。
それでも呼ばれると顔を見たくなって視線を持ち上げれば、熱を孕んだ瞳と視線が絡んだ。
「その顔。……すげえ美味そうなんだけど」
「ッ、」
「なあ……俺のこと、欲しい?」
指で顎を掬われて、視線を逃すことを許してもらえない。
椿の視線の甘さがわたしに伝染するみたいに身体が熱くなる。無意識に上ずった呼吸をまたキスで攫われて、頭の中が真っ白になった。
「ちゃんと目ぇ見て。
……俺に何されたいのか、言ってみ?」