【新装版】BAD BOYS



「あら、ずいぶんと静かね」



きょとん、と一瞬表情を崩す彼女。

それが幼く見えて、結局この人いくつなんだろうとぼんやり思っていれば。



「……はなび髪染めたの?

ごめんねいま気づいた、かわいいよ」



「マヤ、椿が睨んでるから……」



「ちゃっかり腰抱いてんじゃねえよ」



いつの間にかはなびに近づいていた八王子が、彼女の腰をゆるやかに腕で抱きながら顔を近づけていた。近いんだって。

はなびもはなびで幼なじみだからとはっきり拒めないのか、それ自体を嫌がってる様子はないし。



内心舌打ちしたい気持ちを抑えて歩み寄り、彼女の腕を引いて取り返す。

それから視線を絡ませると。なぜか顔を赤くして、恥ずかしそうに視線を逸らしてしまった。




え。なにその表情。

なんで照れて……って、そうだ。



「さっきのこと思い出したの? はなび」



「なっ、違……っ」



「いいところで呼び出されてウズウズしてる?

仕方ないな、帰ったらさっきの続きを、」



「っ、しないから……! やだもう椿甘い怖い」



反抗しているけれど、はなびの顔が赤い。

何も言わずにじーっとはなびを見つめているだけで、赤くなって視線を泳がせるのが可愛すぎて困る。あーあ……キスしたい。



わざとらしく頰に手を添えて「キスしていい?」なんて聞いてみれば。

はなびは真っ赤なまま固まってしまう。……そんな顔されたら、返事なくてもしたいんだけど。



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