【新装版】BAD BOYS



「椿が食べてたのがトマトのパスタで、わたしはレモンクリームのだったでしょ?

だから、味が混ざらないようにフォーク使っていいよって貸してくれたけど、」



「ん、間接キスしたな」



「……実はドキドキしてた?」



たのしそうな声色の彼女。

別に間接キスで動揺するほど俺はピュアじゃない、と、思いたいけど。



「……してたって言ったら?」



平然と俺のフォークを使った後、平然と返してきたはなびが恨めしかったのは本当だ。

意識してんのもなんだし誤魔化すように普通に使ったけど。その逆のパターンでも、彼女は間接キスなんて微塵も意識してないみたいに使ってた。



……いや、本当に意識してなかったんだろうけど。




「んー、してくれてたら、うれしいなって」



くすっと楽しげに笑うはなびを見てたら、その恨めしさもなんでもよくなる。

だけど、一つ気になる点があって。



「……そもそも、彼氏いるくせに間接キスとかする?」



「うっ……」



指摘すると言葉に詰まる彼女。

まあ場に流されたっていうのもそうだし、状況から見て店員さんに新しいフォークをもらう、っていうのもなんか違うけど。



「まさか俺と付き合ってから別の男と間接キスとか、」



「してない……!」



< 450 / 463 >

この作品をシェア

pagetop