【新装版】BAD BOYS
・thirty
・
「おはよ、と。ただいま」
「椿さんおかえりなさい……!」
「……なんかすげえ熱烈じゃねえの」
桃ちゃんと一緒に、女子高生の夏を謳歌してくる……とか、なんとかで。
お家デートを満喫した翌日は、俺とはなびは別行動。最近一緒にいる機会が多かったけど、世の中のカップルって、毎日一緒にいるわけじゃないし。
変な男に絡まれないように、って連絡だけ入れたら、可愛らしいうさぎが「了解!」のプレートを持ったスタンプがかえってきた。
なにそれかわいい。
「穂さんが拗ねてましたよ?
『染ちゃんが記入してくれたカレンダー、今日は染ちゃん以外予定入ってないはずなのに誰もこないじゃん……!』って」
「ん? 今日穂しかいねえの?」
めずらしいな。
染は学校のことをふくめても忙しいからいないことはよくあるし、珠紀もみやちゃんと予定があるときは大抵来ないけど。
芹もいないのか、と思っていれば、「芹さんもデートらしくって」と教えてくれる。
……なるほどそれで穂だけになってんのか。
「わーっ、つーちゃん……!!」
「はいはい、落ち着け」
会話で俺が来たことに気付いたらしい穂は、すぐさま階段を駆け下りてくる。
それから「みんなひどいよね!!」と同意を求めながら、俺の腕を引いて2階へと連行した。
「連絡入れてくれたら、
もうちょい早く準備して来てやったのに」
吹き抜けからは、下のメンツの楽しげな声が聞こえてくる。
がらんとしたスペースで、空いているソファを陣取った。