【新装版】BAD BOYS
いや、うん。
……はなびさんそろそろ愛想振りまくのやめようか。もう男なんて嫌いって嘘ついていいレベルじゃねえかな。なんで次から次へと男が寄ってくんの?
「先輩に電話しよ……」
「あれ、つーちゃんあんなに嫌ってたのにノア先輩のこと頼るの?」
「だってこのままだと、
将来はなびに近づく男へのストレスでハゲそう」
「うんそれは切実に相談したほうがいいと思う」
すぐさまそう返してきた穂に「だよな」と言いつつ乾いた笑みが漏れる。
まじで無意識に男を寄せ付けるのやめてくれ。
はあ、とため息をついていれば「いつから入んの?」と呑気に聞いてくるシイ。
顔を上げれば含み笑いだし、こいつは絶対俺をいじって楽しんでる。姉さんがドSどうのこうの言ってたけど、お前も大概ドSだよ。
「いつからって?」
「バイト」
「ああ、今週から。
来るなよ?フリじゃねえからな?来るなよ?」
「でも来なかったら「いつ来る?」って聞いてくるんでしょ?
……椿ってほんと俺のこと好きだね」
「お前の思考回路どうなってんだマジで」
ふざけた何気ない言い合いに、くすくすと笑ってる彼女。
艶のある自身の黒髪を指で梳いて、「ねえ」と誰にともなく声をかける。
ソファの肘置きに片肘をついて、体重を預けるその仕草だけでも漂う妖艶さ。
そういえば忘れてたけどこの人キャバ嬢なんだっけ。まあナンバーワンになるわな。こんなに色っぽい美人を、男が放っておくわけないし。