【新装版】BAD BOYS



いや、うん。

……はなびさんそろそろ愛想振りまくのやめようか。もう男なんて嫌いって嘘ついていいレベルじゃねえかな。なんで次から次へと男が寄ってくんの?



「先輩に電話しよ……」



「あれ、つーちゃんあんなに嫌ってたのにノア先輩のこと頼るの?」



「だってこのままだと、

将来はなびに近づく男へのストレスでハゲそう」



「うんそれは切実に相談したほうがいいと思う」



すぐさまそう返してきた穂に「だよな」と言いつつ乾いた笑みが漏れる。

まじで無意識に男を寄せ付けるのやめてくれ。



はあ、とため息をついていれば「いつから入んの?」と呑気に聞いてくるシイ。

顔を上げれば含み笑いだし、こいつは絶対俺をいじって楽しんでる。姉さんがドSどうのこうの言ってたけど、お前も大概ドSだよ。




「いつからって?」



「バイト」



「ああ、今週から。

来るなよ?フリじゃねえからな?来るなよ?」



「でも来なかったら「いつ来る?」って聞いてくるんでしょ?

……椿ってほんと俺のこと好きだね」



「お前の思考回路どうなってんだマジで」



ふざけた何気ない言い合いに、くすくすと笑ってる彼女。

艶のある自身の黒髪を指で梳いて、「ねえ」と誰にともなく声をかける。



ソファの肘置きに片肘をついて、体重を預けるその仕草だけでも漂う妖艶さ。

そういえば忘れてたけどこの人キャバ嬢なんだっけ。まあナンバーワンになるわな。こんなに色っぽい美人を、男が放っておくわけないし。



< 460 / 463 >

この作品をシェア

pagetop