【新装版】BAD BOYS
「『花舞ゆ』のみんなは、ここが好き?」
優しくされたその問い掛けに、『花舞ゆ』のメンバーは間髪入れることなく「好きだ」と返すことが出来る。
それは俺も穂もそう。下のメンツも関係なく。
愛とか絆とかそんなんじゃなく。
その名前の下でだけ繋がる、特別なものがあった。
「ふふっ、そうよね。
紫月だって、あの場所が好きだものね」
「……まあ、俺らの居場所だからね」
トウカさんがシイの言葉で嬉しそうに笑う。
自分が支える人間が、その居場所を気に入ってくれているのなら、それは何より嬉しいこと。
特にブラックの人間は、"ルーム"をすごく大切に思っていると、話の節々で感じることがある。
それらは全て、この美しきトップの努力の賜物なんだろう。
「……さて。
それじゃあ、この場所を守るための作戦を立てましょうか」
「作戦?」
「そう、作戦。……大切なお姫様を守るための」
姫と言われて浮かぶのは、愛しい彼女のこと。
『花舞ゆ』に愛されしお姫様と、『BLACK ROOM』を統べるこの人の間で。
「──準備はいいかしら?」
「おっけーっす、姉さん!」
あの日、どんな会話が交わされていたのかを。
俺らは誰ひとりとして、知らなかった。