【新装版】BAD BOYS



「『花舞ゆ』のみんなは、ここが好き?」



優しくされたその問い掛けに、『花舞ゆ』のメンバーは間髪入れることなく「好きだ」と返すことが出来る。

それは俺も穂もそう。下のメンツも関係なく。



愛とか絆とかそんなんじゃなく。

その名前の下でだけ繋がる、特別なものがあった。



「ふふっ、そうよね。

紫月だって、あの場所が好きだものね」



「……まあ、俺らの居場所だからね」



トウカさんがシイの言葉で嬉しそうに笑う。

自分が支える人間が、その居場所を気に入ってくれているのなら、それは何より嬉しいこと。



特にブラックの人間は、"ルーム"をすごく大切に思っていると、話の節々で感じることがある。

それらは全て、この美しきトップの努力の賜物なんだろう。




「……さて。

それじゃあ、この場所を守るための作戦を立てましょうか」



「作戦?」



「そう、作戦。……大切なお姫様を守るための」



姫と言われて浮かぶのは、愛しい彼女のこと。

『花舞ゆ』に愛されしお姫様と、『BLACK ROOM』を統べるこの人の間で。



「──準備はいいかしら?」



「おっけーっす、姉さん!」



あの日、どんな会話が交わされていたのかを。

俺らは誰ひとりとして、知らなかった。



< 461 / 463 >

この作品をシェア

pagetop