【新装版】BAD BOYS
「あー……両方買うわ。
どう考えてもどっち付けてもかわいいだろうし。ぜったいすみれ喜ぶと思う」
「……うん。それならよかった」
「選んでくれてありがと。
……で、そんなはなびにはこれが似合うと思うんだけど」
そう言って椿が手に取ったのは、花の装飾が綺麗なダッカール。
……たしかに髪が邪魔なとき、ダッカール使うけど。そんなしれっと言われても、一瞬反応に困る。
「さっきから違うところ見てると思ったら、
わたしに似合う髪飾り見てたの?」
「あ、バレた?」
ぺろっと舌を出して笑った椿が、わたしの髪に触れてくるから、どうすることも出来ずにぴしっと固まってしまった。
優しく触れた指先が、わたしの髪を梳いて。
「はなびの髪って校則違反じゃねえの?」
「うちには桃がいるのよ、椿」
「ああ、ピンクのツインテールね。
『白金』は校則ゆるくていいな」
わたしの髪は、一見ふつうの黒髪だ。
だけど右側の、髪の内側。ほんの一部だけが赤、青、緑、ピンク、金、銀、と6色になっている。ある意味誰よりも奇抜なわたしの髪色。
別に意図的にこうした訳じゃなくて。
中学のとき、夏休みに『花舞ゆ』のメンバーが髪をカラフルに染めてたから、ちょっとした出来心でいろんな色を試してみたくて、すこしずつメンバーからヘアカラーを頂戴した。
いざ狙ってこの色に染めてみたら、案外綺麗なまとまりになって。
芹が『名前のはなびみたいで綺麗じゃね?』って言ったのがはじまりで、結局これに落ち着いてる。
でもまあ毎回そんなカラフルに染めるのは面倒だし、今はずっとエクステだけど。
一応、昔と髪色は変わらないままだ。