【新装版】BAD BOYS
・four
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最終的に言うと、椿とのデートはとても楽しかった。
終始彼は優しかったし、あまりにもエスコートが完璧だから「彼女できたらこんな風にデートするの?」って聞いてみたら、「さあ?」って笑われた。
椿の好きなブランドショップに立ち寄って、言われていた通りに彼の服を選んであげたけど、すごく気に入ったみたいで買ってたし。
ほかにも色々見て回って、約束してたレモネードのショップも行った。
一通りフロアを歩き尽くして、時刻も丁度いい。
そろそろ帰ろうかとモールを出て駅に向かい、電車に乗っている途中で。
「あ、雨降ってきた」
「……ちょっと帰るの遅かったな」
「そうね。
でもわたし折り畳み傘なら持ってるわよ」
残念ながら、傘はそんなに大きくないけど。
ふたりで相合傘なんてしたら肩くらいは濡れちゃうだろうけど、直接濡れるよりはマシだと思う。
「じゃあ、傘入れてもらおうかな。
……あ、傘で思い出した。珠紀に彼女できたんだよ」
「え、自分の利益になる時にしか動かないあの珠紀が……?」
「……俺らに対してそういうこと言えんの、
ぜったい『花舞ゆ』内外でお前だけだよな」
だって本当に珠紀ってそういう性格なんだもの。
彼になにかお願いするときは、大体彼の利益になるものを提示しないと引き受けてくれない。……稀に機嫌のいい時は引き受けてくれるけど。
「結構溺愛しててさ。
この間も、雨降ったからって迎えに行ってた」
「へえ……」
「ほかのヤツは彼女とかいないけど。
……あ、お前昔芹に告られてフッたの?」