【新装版】BAD BOYS
誰が悪いわけじゃないことも知ってる。
そうやって足掻くことでしか、みんながみんな生きていけないこと、ちゃんとわかってる。「幸せ」を願う余裕もないこと、わかってるから。
だからわがままは言わない。
ノアに、わたしを好きでいて、なんて贅沢なことも強請ったりしない。──あの場所にもどりたい、なんてそんなこと、絶対に言わない。
「ノアは、ひとりじゃ生きていけないの」
「……そんなに好き?」
「……好き」
もしわたしが、何もかも知らない子どものままだったら。
彼の手を、ふり解けたはずだ。──先のない恋なんて、したくないのだと。
でもわたしは、もう子どもじゃないから。
彼がいつでも弱さを見せられる場所を、わたしがつくってあげなきゃいけない。
「……ねえ、椿」
「………」
「ノアが、わたしのことを「いらない」って言う瞬間まで。
……あなたがどう頑張ろうと、わたしはあの場所にはもどれない」
できることなら、ずっと。
『花舞ゆ』のみんなの笑顔を、そばで見ていたかった。
何の疑いもなくわたしが「仲間」だと言えるのは、彼等だけだ。
2年間。……『花舞ゆ』を思わなかった日なんて、本当は、一度もない。
「ごめんね」
それでも、お願いだから。
わたしを連れ戻そうなんて責任感、ひとりで背負おうとしないで。……わたしから、手を離して。