【新装版】BAD BOYS
「仕事の延長みたいな感じの予定、かな。
……ありがたいことに、稼げるようになってきてるし」
「……うん」
「もうすこし余裕は欲しいとこだけどね」
グレーがかった瞳が、照明を受けて淡く揺らめく。
それをじっと見つめていたら、ノアが動いて、ゆっくり重なるくちびる。至近距離で見つめ合うと、ノアは「はなび」と愛おしそうにわたしを呼んだ。
「困るなぁ。
……はなびを見てると、どうしても触れたくなる」
「っ、」
ノアがそう言うと、なぜか艶っぽく聞こえてしまうから困る。思わず顔を赤くするわたしを見て、小さく笑うノア。
手を伸ばして頬に触れると、彼はすこしだけ瞼を伏せた。
「……だめって言うなら、今日は触れないよ」
いつも彼がしてくれるみたいに、頬を撫でて。
身を乗り出して自分からくちびるを重ねると、彼が伏せていたまぶたを持ち上げる。目が合って恥ずかしいのに、離れることもできずに。
「どうしてそんな余裕げなの……?」
「そんなふうに見える?」
「そんなふうにしか見えない」
「それは良かった」
色っぽく笑ったノアが、離れられないままのわたしにキスをくれる。
それが深くなれば、余裕なんてもう無い。ベッドに沈んで、酔いそうなほどに彼で染め上げられるだけ。